遺留分侵害額請求と時効に関するQ&A
先日、遺言書の内容を確認したのですが、この場合、遺留分侵害額請求は、いつまでにしないと時効になりますか?
遺留分は、「相続の開始及び減殺すべき遺贈や贈与があったことを知った時から1年以内」に、遺留分侵害額請求をしないと、時効になります。
そのため、ご質問者の場合、被相続人が亡くなったこと、かつ、遺言書の内容を確認し、当該遺贈が遺留分を侵害することを知った時から、1年以内に遺留分侵害額請求をする必要があります。
遺贈が遺留分を侵害するかについては、例えば、遺言書の内容が、特定の相続人にすべてを渡すといった内容であれば、基本的に、遺留分を侵害することになります。
なお、時効にかかるまでの1年以内に、受遺者(遺贈を受け取った人)や受贈者(贈与を受け取った人)に対して、「遺留分侵害額請求をします」と意思表示をすれば、時効を止めることができます。
意思表示をする際は、内容証明郵便等で、証拠に残る形で残しておいた方が良いでしょう。
そもそも亡くなったことを知らなかった場合、遺留分の時効はどうなりますか?
たとえ、亡くなったことを知らなかったとしても、亡くなった時から10年を経過してしまうと、遺留分侵害額請求はできなくなります。
また、亡くなったことは知っているが、遺言書があることは知らなかった場合であっても、同様に10年間の制限はあります。
そのため、遺留分侵害額請求をする際は、なるべく早めに動かれることをおすすめします。
遺留分侵害額請求をした後は、時効を気にしなくても大丈夫ですか?
遺留分侵害額請求を請求した場合、1年間の時効は止まります。
しかし、遺留分侵害額請求の意思表示をした時点から、5年、または、10年が経過してしまうと、時効にかかってしまい、請求できなくなりますので注意が必要です。
たとえば、令和2年10月1日に遺留分侵害額請求の意思表示をした場合、そこから5年以内に、遺留分侵害額請求について、訴訟等をしないと、時効によって権利が消滅します。
なお、時効が10年か5年かについては、遺留分侵害額請求の意思表示をした時が、令和2年4月1日より以前にされたものに限り、時効は10年間となります。