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遺言を作成する際の注意点

  • 文責:弁護士 井川卓磨
  • 最終更新日:2024年3月25日

1 法定の要件を満たしていない遺言

⑴ 遺言書の要件

遺言書の種類については、よく使わるものとして公正証書遺言と自筆証書遺言があります。

公正証書は、作成に公証人が携わる遺言のことをいい、自筆証書遺言は、手書きで作成する遺言のことをいいます。

それぞれの遺言について、形式的要件と実質的な要件があります。

まずは、形式的要件についてご説明します。

なお、実質的要件で問題になる遺言能力については、後述の「認知症のときに書いた遺言」のところで、ご説明します。

⑵ 公正証書遺言

公正証書遺言は、元裁判官や元検察官等の専門家が公証人として作成に携わるため、形式的要件で問題になることはほぼありません。

そのため、公正証書遺言の方が、間違いが起こりにくいといえます。

⑶ 自筆証書遺言

他方、自筆証書遺言は、その作成に専門家が関与しなくても作成することができるため、たびたび形式的要件が問題になります。

自筆証書遺言の形式的要件は、①遺産目録を除く全文と②日付③名前を自書し、④押印をすることが必要になります。

これらの要件について、一つでも欠けていると、遺言書は無効になります。

遺言が無効となってしまうと、原則、法定相続分通りの遺産分割が行われます。

そのため、せっかく遺言書を書いたにもかかわらず、遺言者の意思を無視した形の遺産分割が行われるかもしれません。

そうならないためにも、遺言書を作成する際は、公正証書遺言で作成するか、または、自筆証書遺言の場合は、専門家の立ち会いのもと作成されることをおすすめします。

2 認知症のときに書いた遺言

⑴ 遺言能力とは

遺言の実質的要件として、よく遺言能力が問題になることがあります。

遺言能力とは、簡単にいうと、遺言書を作成することができる判断能力のことをいいます。

そのため、認知症のときに書いた遺言は、遺言能力が欠けるとして、後日、無効になる可能性があります。

⑵ 実例

実際、認知症が進んだ状態のときに書いた遺言書が無効になった事例が複数あります。

このような事例には、たとえ公証役場で作る公正証書遺言や専門家が作成に関与した遺言であったとしても、無効と判断されたものも含まれています。

つまり、遺言の形式的要件を満たしていたとしても、実質的要件の観点から遺言が無効となってしまうこともあり得ますので、注意が必要です。

⑶ 遺言能力にも気を付ける

もちろん、認知症のときに書いた遺言が、すべて無効になるわけではありません。

また、相続開始後になるべく紛争にならないように、遺言書の作成の段階から対策を打つこともできます。

そのため、遺言書を作成する際は、一度、弁護士等の専門家にご相談ください。

3 相続人の一人だけに遺産を相続させる遺言

⑴ 遺留分とは

相続人の一人だけに全財産を相続させた場合、遺留分について問題になる場合があります。

遺留分とは、簡単にいうと、一部の相続人について法律上保障された、一定割合の相続財産のこといいます。

⑵ 具体例

例えば、母と子が二人(兄弟)の家庭で、母が長男にだけ全財産を相続させる旨の遺言を残した場合、次男は、長男に対し、全体財産の4分の1の遺留分を金銭で請求することができます。

遺留分を請求された長男としては、遺産の預貯金の中や長男自身の手持ちの財産から、遺留分を支払うことができない場合、遺産を売ってお金にするか、もしくは借金をしてでも、遺留分を支払わなければなりません。

⑶ 遺留分を考慮した遺言書の作成を

このように、遺言書を作成する際は、それぞれの相続人の遺留分について注意する必要があります。

遺言書を作成する際に、遺留分のことを考慮に入れないと、財産を受け継ぐ相続人が大変なことになってしまうかもしれません。

なお、弁護士等の専門家であれば、遺留分対策等についても行えますので、遺留分についてご不安な場合は、お気軽にご相談ください。

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